人が生きていくために必要不可欠な“食事”。今までは好きなように食べてきた方も、あまりご飯を食べてこなかった方も、妊娠を考え始めたり、実際に妊娠したりした時には、お腹の赤ちゃんや自分自身のためにも食生活を見直す必要があります。
今回は「急に見直せと言われてもどう見直していいかわからないよ!」という方のために、妊娠前から意識しておきたい食生活の指針についてご紹介します。
これからママになる人の食生活の心構え
妊娠を考え始めてから授乳期までの女性に向けた食生活の指針が、厚生労働省から発表されています。お腹の中で赤ちゃんを健康的に育てるためには、ママ自体が健康でなければなりません。まずはこちらをチェックして健康な体づくりを意識しましょう。
妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から、健康なからだづくりを~
- 妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
- 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
- 不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
- 「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
- 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
- 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
- 母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
- 無理なくからだを動かしましょう
- たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
- お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから
バランスの良い食事を心がけよう!
妊産婦のための食事バランスガイド

食事バランスガイドは、食事のバランスをコマに例えてイラストで分かりやすく示していて、これを見れば1日に何を・どれだけ食べたら良いのかを知ることができます。 コマは「水・お茶」などの水分を軸に、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」から成り、これがバランスの良い食事の基本となっています。またよく見るとコマの上部には人が走っている姿も。これは健康的に過ごすためには適度な運動も必須だということを表しています。
コマの横の表には、適切な食事量の目安が記されています。 こちらの目安量を満たせるように、料理例を参考にしながら毎日の食事を調整しましょう。
ちなみに、お菓子や嗜好飲料は1日200kcalを目安に。過度な摂取はよくありませんがストレスが溜まらない程度にセーブしつつ楽しむのがおすすめです。
妊娠中の適正カロリー

妊娠中は、赤ちゃんの成長のためにもできるだけたくさん食べたほうがいいような気持ちになってきますが、妊娠中といえどもカロリーの摂りすぎはよくありません。 とはいえ食べづわりの場合は、「食べていないと気持ちが悪くて我慢するのが苦痛……」なんてこともあるかと思います。
そんな時は、カロリーの低いものや栄養価の高いものを選んで食べるようにしましょう。ただし、同じものを大量に摂取するのはおすすめできません。できるだけいろんな種類のものを食べるようにしましょう。
妊娠前 | 妊娠初期 (〜13週6日) | 妊娠中期 (〜27週6日) | 妊娠後期 (〜28週0日) | 授乳期 | |
---|---|---|---|---|---|
付加エネルギー量 | 0kcal | 50kcal | 250kcal | 450kcal | 350kcal |
推定エネルギー必要量 | 2000kcal | 2050kcal | 2250kcal | 2450kcal | 2350kcal |
また逆に、摂取カロリーが低すぎるのも問題です。妊娠中に十分なエネルギーを摂取していないと早産や低出生体重のリスクが高まります。
妊婦の平均的なエネルギー摂取量はおよそ1700kcal。これは妊娠前の基準値の2000kcalよりも下回っています。お腹の中にいる時に赤ちゃんが十分に発育ができていないと、将来的に肥満や循環器疾患(高血圧や心不全、脳梗塞など)、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まる可能性があります。
太り過ぎもNG!適正体重増加量

妊娠したらお腹の中で命が育つわけですから、体重が増えるのが正常です。ですがそうかといって、いくらでも体重を増やして良いわけではありません。体重にも適正値、目安があります。
体格 | 妊娠前のBMI | 体重増加の目安 |
---|---|---|
低体重(やせ) | 18.5未満 | 12~15kg |
普通体重 | 18.5以上25.0未満 | 10~13kg |
肥満(1度) | 25.0以上30.0未満 | 7~10kg |
肥満(2度) | 30.0以上 | 医師に相談 |
体格を数値で表すBMIは「妊娠前の体重(kg)÷(身長m)²」で計算します。 身長155cm、体重50.2kgの方だとBMI20.9となります。 この場合は、上記の表で普通体重に分類されるので、体重は10〜13kgほど増えるのが適正とされています。
適正増加量を超えて体重が増えてしまった場合、妊娠高血糖症候群や妊娠糖尿病などの発症リスクが高まってしまいます。
まとめ
今回は、厚生労働省から発表されている『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針』をもとに、妊娠前から意識したい食生活の指針をいくつかご紹介しました。いかがでしたでしょうか。この記事が読者の方の食生活や生活習慣を見直すきっかけになれば幸いです。ご紹介したのはあくまで一般的なものですので、よりパーソナライズされた指標が知りたい場合は、かかりつけのお医者さんや専門機関に相談してみてください。
この記事は2022年10月時点の情報です。
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